確かに面白い。テンポもいいし、カメラアングルも良いところから撮っている。堺雅人のテクニックも素晴らしい。高視聴率を記録するのにも納得できる。
昨日、最終回を迎えた「半沢直樹」のことである。
僕は、いいちこの水割りを片手に、少しベロンベロンになりながら観ていたのだけれども、まあ確かに素晴らしい作品だ。
が、しかし、半沢直樹ファンの皆さん、あるいは堺雅人ファンの皆さん、昨年の「その夜の侍」を観た上で「半沢直樹」を面白がっていたのでしょうか? 今回の堺雅人の演技なんて、あの作品における彼の面白さに比べればなんてことはない。
今年を代表するこの素晴らしい作品にケチをつけているのにはちゃんとした理由がある。それは、かのたかじん氏の番組内で(そこまで言って委員会ではない)某国際弁護士がとんでもない暴論を吐いていたからだ。
彼曰く、同じ高視聴率ドラマでも、作品の出来としては「あまちゃん」よりも「半沢直樹」の方が上らしいのだ。
はあ?! いくらなんでも、それはアンフェアな意見だろう。彼は、視聴率の差だけで作品の出来の差を判断しているとしか思えない。ちなみに、もともと癇癪持ちのなまさかなクンは、本日二日酔いで、かなりイライラしている。
そもそも、放送時間帯が極めて異なるこの2作品の視聴率を比べること自体がアンフェアだ。だって、朝の8時にテレビをゆっくり観られる人なんてほんのひとにぎりだ。大抵の人は通勤や通学をしている時間帯だ。彼にはそういった重要な視点がなく、言ってること自体、外国の歴史を考えないで自国史を語るようなものだ。
さて、ここからが本題で、皆さんご承知のとおり「あまちゃん」は今週が最終週である。僕はこれまで1話も観逃さなかったので、なんとも寂しい気持ちでいっぱいだ。俗に言う「あまちゃんロス症候群」というやつに陥っているのかもしれない。
まあ、前作の「純と愛」の駄作っぷりにイライラしていたので、あらかじめハードルはかなり低い位置に用意されていた。それでもだ、この「あまちゃん」というふざけたタイトルの歴史に残る大傑作は、破竹の勢いでそのハードルを超えていった。
この作品の素晴らしいところは、徹底的に他者を、あるいはキャスト自身を茶化す部分にある。最大の被害者は秋元康だろうが、そのほかにも、トシちゃんとかエグザイルとか吉川晃司とか。しかも、そのやり方が本当に徹底的で、AKB商法のまねごとをしていて、発売されたCDがもう大ヒット。これにはやられた。
さて、優れたエンターテインメント作品がそうであるように、この作品にも功罪がある。まあ、圧倒的に功績の方が大きいのだが。
まず第一に、能年玲奈という新たな才能を発掘したという功績がある。初めは、霧島に出ていた橋本愛目当てに観ようと思っていたのだが、やっぱりヒロインとその他のキャストとでは、その輝き方が全く違う。演技力では橋本愛の方が若干上回っているとは思うのだけれども、センスに関して言えば、能年玲奈は全く引けをとっていない。そして、スタッフ・キャストすべての人々は、このダイヤの原石を丁寧に磨きあげ、国民的女優と呼ばれてもおかしくない存在に彼女を育て上げた。
それにしても、能年ちゃんの透明感すごいなり~! その猫背をなでてみたいなり~! でも、今後のことを考えると、猫背は治したほうがいいなり~! そうなると、もうその猫背をなでることはできなくなってしまうなり~! と、なまさかなクンはもう彼女にメロメロ。
それはさておき、大友良英という一生陰でキャリアを積み重ねていったかもしれない存在を、陽のあたる明るい場所に引きずり出したという功績も大きいだろう。だって、テレビ東京の夜10時ならまだしも、天下のNHKの、しかも朝の8時に彼の音楽が聴けるなんて誰が想像した? しかも、歌謡曲風の曲まで作りやがった! 本当に申し訳ないのだけれども、ずっとノイズしか出来ない人だと思ってました。めちゃくちゃギター上手い!
あとは、気になる罪過の方だけれども、これはほとんど杞憂に終わると思うけれど、今後、能年玲奈に天野アキ以上のはまり役があるかということだ。まあ、これに関しては、業界関係者が彼女をほっとかないと思うから、おそらく大丈夫だろう。
ただ、大丈夫じゃないと思うのは、この大ヒットによって次作「ごちそうさん」に対するハードルが異様に上がってしまって、その点がちょっと(というか、かなり)不安だ。
宮藤官九郎によるこの作品は、かなりドライなコメディードラマとして、そして、ちょっと湿っぽいヒューマンドラマとして、とても秀逸だ。彼はこの作品によって、エンターテインメントの完全なる勝利宣言をする! そして、たぶん心配はないと思うけれど、アキちゃん、色んな男が寄ってくるとは思うけど、前髪クネ男みたいな奴にだけはひっかかるな! あと、「団地ともお」めっちゃおもろいな!
「あまちゃん」公式サイト:http://www1.nhk.or.jp/amachan/
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